公認会計士の理屈っぽい映画レビュー

公認会計士の理屈っぽい映画レビュー

趣味の映画についてあれこれ言います。「公認会計士の」と言ってはいるものの、弁護士さんやお医者さんのような花形資格と違って会計士が題材の映画はほとんどないため、私の専門知識を使った作品解説などは期待しないでください。ほぼ素人考えの理屈です。

ブレードランナー2049【5点/10点満点中_前作のドラマを否定した続編】

5点/10点満点中

 

■荒野を舞台にしたブレードランナー

第一作は作り込まれた未来のロサンゼルスが主人公と言っても過言ではない作品であり、その圧倒的な情報量・VFX技術・映像美には以降のSF映画全般を大きく変えるほどのインパクトがありました。ただし、公開後35年も経ってしまうとかつては新鮮だった未来都市のイメージもすっかり陳腐化してしまい、82年と同一イメージの再提示では現在の観客の期待には応えられないという問題がありました。かと言って前作からかけ離れ過ぎると世界観が繋がらなくなるという別の問題も発生することから、本作はブレードランナーと同じであってはいけないが、違っていてもいけないという困難を抱えた企画でした。

そこで出した答えが、都市の外側にある荒野のイメージを中心とするという奇策であり、これならば世界観を変えることなくビジュアルを大幅に変えられるというメリットがありました。ここまで豪快なビジュアルイメージの転換を図ってもちゃんとブレードランナーになっている辺りはさすがであり、撮影やデザインの良さがかなり光っています。

 

■充実した新旧キャスト

さらにキャスト面も充実しており、ライアン・ゴズリングはハードボイルドな雰囲気を漂わせているし、アナ・デ・アルマス演じるAI彼女は可愛くて健気で「こんなもん、誰でも惚れるやろ!」というほどの魅力だし、前作のキャストを再登場させるタイミングも良く、レガシーに配慮しつつも、新たなドラマを作り上げることに成功しています。

 

■前作ディレクターズカット版準拠の続編

前述した通り本作の主な舞台は荒野であることから、緑豊かなハイウェイを行く前作劇場公開版のクライマックスとの世界観の連続性は完全に断たれています。また、「デッカード=レプリカント説」を基礎とする物語であることも、デッカードを人間とした劇場公開版との断絶を示しています。本作はリドリー・スコットが製作総指揮を務めていることから、リドリーによる解釈を出発点とした物語となることは必然ではあるのですが、従前は「デッカード=レプリカント説」に反対していたハリソン・フォードがよくこれをOKしたなという驚きはありました。

 

■前作のドラマが否定される内容では?

本作ではデッカードレプリカントだっただけではなく、レイチェルとの出会いまでがタイレルに仕組まれたものであったという驚愕の真相が明かされるのですが、いやいや、それでは前作がブチ壊しになってしまうだろと、ここで一気に冷めてしまいました。

前作は運命に抗う者達の物語でした。反乱を起こしたレプリカントや鳥かごから逃げ出したレイチェルは、あらかじめ定められていた自分自身の”用途”に反発し、自分の生きる道を探そうとしました。それはデッカードも同じくで、彼はレプリカントを追うブレードランナーでしたが、最後にはレイチェルとの関係を選択してブレードランナーという役割を捨て、追われる身になる決意を固めました。これらはそれぞれの意志で到達した境地だからこそ意義があるのであって、タイレル社長に仕組まれたものとなると前作のドラマ性がほぼ否定されてしまいます。

時間をかけて練り上げられた作品なので細部の矛盾はない一方で、大意の部分が前作とまるで整合しておらず、木を見て森を見ないような姿勢で作られた続編だと感じました。

 

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

脚本:ハンプトン・ファンチャー,マイケル・グリーン

原案:ハンプトン・ファンチャー

原作:キャラクター創造/フィリップ・K・ディックアンドロイドは電気羊の夢を見るか?

製作:アンドリュー・A・コソーヴ,ブロデリック・ジョンソン,バッド・ヨーキン,シンシア・サイクス・ヨーキン

製作総指揮:リドリー・スコット,ティム・ギャンブル,フランク・ギストラ,イェール・バディック,ヴァル・ヒル,ビル・カラッロ

出演者:ライアン・ゴズリング,ハリソン・フォード,アナ・デ・アルマス,シルヴィア・フークス,ロビン・ライト,マッケンジー・デイヴィス,カーラ・ジュリ,レニー・ジェームズ,デイヴ・バウティスタ,ジャレッド・レト

音楽:ベンジャミン・ウォルフィッシュ,ハンス・ジマー

撮影:ロジャー・ディーキンス

編集:ジョー・ウォーカー

製作会社:アルコン・エンターテインメント,コロンビア映画,スコット・フリー・プロダクションズ,トリドン・フィルムズ,16:14 エンターテインメント,サンダーバード・エンターテインメント

配給:ワーナー・ブラザースアメリカ),ソニー・ピクチャーズ(世界)

公開:2017年10月6日(アメリカ),2017年10月27日(日本)

上映時間:163分

製作国:アメリカ合衆国